
北勢田の古民家
種別/リノベーション
所在地/和歌山県紀の川市
構造/木造平屋建
延床面積/110.22㎡
竣工年/2025年
Photo/Koki Matsumoto
未来を見据え受け継ぐ
昭和初期に建築されたご実家を全面改修し、三世代が共に暮らす住まいです。
改修にあたっては、長期的な視点を持って計画を進めました。
まず、幾棟にも渡る建物から、不要となる建物は減築。
母屋と倉庫、蔵だけを残し、今後見込まれる必要十分な床面積に抑えることから始まりました。
そして、住まいとなる母屋の改修では、助成金を活用した耐震補強を計画。
腐食部材の交換、屋根の軽量化、耐力壁の設置など、石場建て工法を活かしながら総合的な補強工事を実施しました。
又、耐力壁の適材適所な配置と併行して、平面プランを計画。
各々のプライバシーに配慮し、程良い距離感を確保しながら、適材適所な間取り構成となりました。
建物は、祖父母様が丁寧にメンテナンスを重ねられていた事で、築90年程とは思えない良質な状態を維持できており、これら“住み継ぐ意志の継承”も含め、未来を見据えた計画となりました。

将来を見据え、水回り、土間、個室、離れを解体。
母屋は北側に一部増築し、床面積を補うと共に凸凹を無くし成型に整えています。

玄関から続く廊下。元々は客間を兼ねた土間スペースでした。

格子戸の先は、LDKへと続きます。

キッチンは以前の改修の際に、新たに交換していたものを移設再利用。高さを嵩上げし、水栓を交換、食洗器台の増設、LED化など加工を施しています。

南面はバーチカルブラインドを設置されました。
格子戸と相まって、とっても良い雰囲気に。

キッチン前には古い水屋箪笥を転用したカウンターを設置。
作業台としての使い勝手を考え、ステンレス貼の天板に加工。
屋根の軽量化、耐震化により垂れ壁を無くすことで、縁側を含めたLDKを実現しました。

遮るものがないので、日中は間接照明だけでも十分な明るさを確保できています。

LDKに面して、書斎、大容量の本棚、パントリー、収納、仏間を配置。

軒の深さによって、夏場は直射日光が遮られ、冬場は室内奥まで日差しが入る。
撮影は雪の降る寒い日でしたが、中型の壁掛けエアコン1台で十分な暖かさがありました。

格子耐力壁によって緩く仕切られた書斎。
天板は希少なシオジ材の一枚板。

各個室には北側の落ち着いた光が届く。


北側の個室は、一部天井を再利用。
間仕切り壁が耐力壁となります。

