
高野口の古民家
種別/リノベーション
所在地/和歌山県橋本市
構造/木造2階建
延床面積/209.09㎡
竣工年/2025年
Photo/Koki Matsumoto
陽だまりと暮らす新しい家族のかたち
リノベーションを行った上で、新たな住まい手に届ける「再生事業」としてはじまりました本計画。
良縁から工事途中に住まい手が決まり、改めて施主様と共に計画を進めました。
用途としては、母子が楽しく集い暮らす“地域に開かれた場”
血縁関係の枠組みに囚われない新たな家族像に対して、襖で仕切られたフレキシブルな間取り構成が様々な使い方に対応可能である点も、古民家の特徴と符合していました。
計画では、天井高が低く使い勝手の悪い2階南側居室を吹抜けにする事で、採光、通風などの諸問題の解決を図っています。加えて、仕口ダンパー設置による耐震性の向上や断熱面の強化も並行して計画しています。
一方で、敢えて手を加えない所や再利用する箇所を残し、建物の特徴を活かすよう一つ一つ吟味しながら、丁寧に進めました。
縁側に新たに設けた丸窓からは、形を変えながら印象的な日が差し込みます。
そんな“日時計”を囲むように団欒が広がればと、思い浮かべながら計画した住まいです。

玄関土間は敢えて当時の雰囲気をそのままに。座敷間が出迎えます。

北側の柔らかな光が繊細な格子を介して降りそそぐ。

丸窓は傷んだ組子を丁寧に補修。
丁寧な左官仕事は流石の職人技です。

座敷間から縁側へと続く直線状の廊下を取り込み、新たに吹き抜けを設けた開放的なLDK。
ダイニングとの間は、使い方によって襖で間仕切る事ができる。

風の通り道となる2階の木製内窓は、元々あった外部建具を移設再利用しています。

北側の和室からリビングを望む。
南面縁側の先には広々とした庭が広がる。

和室に面する北面縁側。
趣きある木格子と木製建具は、建付けを調整し再利用しています。

玄関土間を挟んで和室と対象位置にある寝室。
家主の利用を想定し、独立した個室として計画。

ダイニングに戻ると、丸窓からの光が形を変えながら差し込む。

日が昇り始めたときは、東側水回り棟に遮られ半円状に。

日が高くなってくると、徐々に丸い形に変わる“日時計”

冬場のお昼過ぎには室内奥まで光が差し込む。
夏場は太陽高度が高く、かつ軒の出によって縁側付近まで遮られます。

洗面台は、廊下から続く長い収納の一部を現場加工して制作。

2階から吹抜けを介して声を掛け合う。
そんな景色が浮かびます。

本瓦葺きの重厚な外観。
趣きはそのままに、焼杉板、左官壁と傷んだ箇所を修景。
BEFORE





