西安上の古民家
種別/リノベーション
所在地/和歌山県岩出市
構造/木造平屋建
延床面積/166.92㎡
竣工年/2020年
Photo/Koki Matsumoto
まだ見ぬ過去をつくること
築年不詳古民家のリノベーション計画です。
ご実家が古民家ということで、古民家に慣れ親しんだ若いご夫婦が中古不動産を購入+リノベーションされました。ただ、幾度の増築を重ね、様々な問題を抱えた建物をどのように再生すべきか。
当然のことながらご予算という制約もあり、何をどうすべきかご要望も含めて優先順位の見極めが最重要となりました。
しかしながら問題や制約が結果として計画の無駄を省き、自然とカタチが導かれることで、建物の竣工時からこのようであったと言われたとしても違和感がないものになったのではと思います。
ですが、当然の事ながら昔とは全く異なる訳ですから、いうならば「まだ見ぬ過去をつくる」という“古民家再生の粋”が凝縮された計画となりました。
風合いのある玄関戸は再利用。
以前は写真手前側に倉庫、建物東側には台所を含む水回りが集約された建物があったが、建物の状態や駐車場の確保、採光など総合的判断から減築している。
ポーチから続く玄関土間。
1段段差を設けることで腰掛けながら靴を履くことができるスペースを設けている。
玄関から続くリビング。減築によって東側からも光が入る。
正面の収納造作は既存を移設している。
南側には3間が続く。用途を限定せず、その時々によって異なる使い方を想定している。
建具類は丁寧に補修した上で極力再利用している。
南側3間の中央がダイニングスペース。ここからの左官はすべて施主様によるDIY。
漆喰によって以前から印象が大きく変わった。
建具類は夏場は外して蔵に保管。広々とした使い方も可能。
キッチン前にはカウンターを造作。
ここで食事をとったり、お子さまが勉強したりもできる。
カウンターはシステムキッチンと一体的に造作。
天板は杉の一枚板、腰板はラワン合板。
簡素でシンプルな素材が古民家に良く合う。
洗面脱衣室の入口も建具を再利用。その先の勝手口からの光が室内まで届く。
トイレ内は和紙クロス貼り。
洗面脱衣室は昔ながらの無骨なタイルと籐の床材を組み合わせた。
北側の和室。母屋は断熱サッシへ全て交換している。
南側の開口部は縁側を挟んでガラス入り障子戸によって程よく光が調整される。
南側の和室は客間としてや、冬場は炬燵を置いてリビングとして使うこともできる。
縁側の頭繋ぎの梁と添え柱は南側開口部の多い古民家の構造補強となる。
離れには2間あり、将来の子供部屋を想定している。
脚元の土台を入れ替える等、表面上は見えないところで大規模な改修を行っている。
BEFORE