
和歌山西の古民家
種別/リノベーション
所在地/和歌山県和歌山市
構造/木造2階建
延床面積/196.64㎡
竣工年/2021年
Photo/Koki Matsumoto
“大正ロマン”な古民家再生
良質なストックを探し出し、リノベーションを行った上で新たな住まい手に届ける再生事業です。
選定したのは、和歌山市中心部に程近くの集落内にひっそりと佇む古民家。
板張り腰壁のある客間、和室床の間の曲面壁など、時代背景を反映した和洋折衷の意匠が既存建物の特徴で、それらを系譜を活かしながら、必要最小限かつ効果的に新たな要素を加えることが出来ないかと考えました。
リノベーションでは、ストックしておいた建具の再利用や過去とリンクした新たな曲面壁の導入、そして時代を反映した家具類も活かしながら、今の暮らしに合わせて丁寧に再編集を行いました。
結果、古いんだけど新しい“大正ロマン”を感じる住まいとなりました。

鬱蒼と茂った植栽達に大きく手を入れた。
建物は傷んだ壁面補修を行った程度で当時のイメージそのままに再生。

玄関は土間仕上げ。広縁へと続く引き戸があり、客人との動線が分けられる工夫がなされている。


玄関正面には座敷への入口となる引き分け障子が迎え、格式の高さが伺える。

障子を開けると座敷間があり、そこから各室へ繋がる。
正面の開き戸の先は洋間。

洋間は当時の趣きそのままに再生。
天井入隅みは曲面壁となっており、当時の粋を感じる。

洋間の対面は8畳の和室。主にリビング使いを想定している。

和室から広縁を望む。縁側からの光が反射し竿縁天井の美しい板目が浮き上がる。

広縁は幅が一間あるので、書斎等いろいろな使い方が可能。

和室の奥には、2間を繋げたダイニングキッチン。
玄関から続く座敷間からも、直接こちらへ続く動線を確保し、回遊性のある間取り構成とした。

キッチン腰の曲面壁は藁すさ入りの左官仕上げ。
奥に見える建具はストックしておいたものを再利用。建具左側に進むと座敷間に繋がる。

コストに配慮し、シンプルな壁付のシステムキッチンを造作で対面式としている。
キッチン左側に見える小窓類も別場所から転用した。
その引違い窓からは個室前のホールを覗くことができる。

手の込んだ彫刻欄間が和室へ採光、通風を導く。

ゆとりのある広々としたトイレ。こちらの建具も別場所からの再利用。

洗面台はミシン台をリメイク。
高さも丁度良く、台に元々あった毛糸入れの収納がそのまま使えて、足踏み部分にタオル籠が置ける。
捨てられる運命だったものも、アイデア一つで磨けば光ります。
BEFORE





