
秋津の家
種別/新築
所在地/和歌山県田辺市
構造/木造平屋建
延床面積/114.66㎡
竣工年/2022年
Photo/Koki Matsumoto
想いを受け継ぐ
“大工だった祖父が建てた家を改修したい”と孫世代にあたるご夫婦の要望から始まりました本計画。
ただ、旧家をじっくり調査した結果、経年による傷みに加えて北側擁壁に迫る建ち方など、改修では解消し難い様々な不具合が判明し、総合的判断から建替えをお勧めするに至りました。
ですが、単に解体し新たに建物を建てるのではなく、
「古くても良いものを大切に取り入れて家づくりをする」
という考えを施主様と共有し、旧家の面影を暗に感じられるよう計画を進めました。
具体的には、旧家から腐食を逃れた梁や建具、家具類を再活用し、地元紀州材と組み合わせることで新旧の調和を図ると共に、光の入り方や風の流れを細やかに感じられるパッシブハウスを目指しました。
又、外装は地域にある伝統的な民家の仕上げ構成とする事で街並みに配慮しながら、右会津川への豊かな眺望を望みます。
結果、新しさの中に時間のデザインが重なることで、記憶を次世代へ受け継いだ唯一無二の住まいとなりました。

東側外観。
路地奥の行き止まりに立地する静かな住環境。

駐車スペースに配慮し、テラス窓から腰窓に更新した木製建具が柔らかな印象で出迎えます。

屋根は瓦屋根からガルバリウム鋼板葺きへ更新し、軽量化を図っています。外壁はモルタル下地の塗装仕上げとし、西側の元増築部はカバー工法によるサイディング貼と適材適所に工法を選定。

玄関引き戸上部の欄間ガラスとリビングからの光によって十分な明るさを確保しています。

ガラス入り引き戸を介してLDKへ続く。

床材は足ざわりが心地良い杉材のフローリングを採用しています。

リビングからダイニング方向を見る。2階につながる軽快な力桁階段は新たに架け替えた。

奥の建具を引き込むと西側までつながる一室空間。心地よい風が通り抜ける。

奥の建具を引き込むと西側までつながる一室空間。心地よい風が通り抜ける。

南側は隣家との境界が狭く採光を期待することはできないため、下屋根にトップライトを設けています。

袖壁間に設けたリビング収納。現在は子供たちのおもちゃと学習用具でいっぱい。

家電や食器類もすべておさまる3.5mを超える横長の造作キッチン。

ダイニングテーブルも時に作業台を兼ねるなど、限られたスペースを機能的に使う。

ダイニングからリビングを見る。
エアコンは天井付の2方向吹き出しタイプで細長い空間を効率良く空調する。

和紙畳とDIY左官仕上による和室。既存再利用のアルミサッシの先は裏庭へと繋がります。

白を基調とすることですっきりとした印象の水廻り。

白を基調とすることですっきりとした印象の水廻り。

階段は圧迫感なく、程よく視線を遮る。
大人数が集まる時は、丁度良いベンチにもなります。

階段からの見下ろし。リノベーションからもうすぐ5年を迎える年季の入った床材は子供達がもう少し成長したら全体的に磨く予定。

階段を上がると左右に子供部屋が2部屋。古建具の内窓を設け、風が通るように計画しています。


子供部屋の床材は、以前住んでいた賃貸住宅に入居の際に敷いた西粟倉村のパーケットフローリング。表面を自分たちで磨いた上で再利用しているので、すでに12年選手。

元増築部分の2階にあたる主寝室。こちらの壁も自分たちで施工した。真壁を活かすべく、元増築部分は外部より耐震補強を行っています。


子供部屋の床材は、以前住んでいた賃貸住宅に入居の際に敷いた西粟倉村のパーケットフローリング。表面を自分たちで磨いた上で再利用しているので、すでに12年選手。


子供部屋の床材は、以前住んでいた賃貸住宅に入居の際に敷いた西粟倉村のパーケットフローリング。表面を自分たちで磨いた上で再利用しているので、すでに12年選手。

子供部屋の床材は、以前住んでいた賃貸住宅に入居の際に敷いた西粟倉村のパーケットフローリング。表面を自分たちで磨いた上で再利用しているので、すでに12年選手。

階段からの見下ろし。リノベーションからもうすぐ5年を迎える年季の入った床材は子供達がもう少し成長したら全体的に磨く予定。


階段からの見下ろし。リノベーションからもうすぐ5年を迎える年季の入った床材は子供達がもう少し成長したら全体的に磨く予定。

階段からの見下ろし。リノベーションからもうすぐ5年を迎える年季の入った床材は子供達がもう少し成長したら全体的に磨く予定。

階段からの見下ろし。リノベーションからもうすぐ5年を迎える年季の入った床材は子供達がもう少し成長したら全体的に磨く予定。
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