下津の古民家
和歌山と聞けば思い浮かべる原風景のひとつ、みかん畑と古民家。
素朴な、かつて日常だった景色だからこそ、次の世代へ受け継ぐ事が大切だと日々考えています。
プランは建物の特徴でもあった錣建ての構造を活かしLDKに開放的な吹き抜け空間を設けました。腕利きの大工が組み上げたダイナミックな小屋組現しの空間に、降り注ぐ光と影が「ここにしかない場所」を生み出します。
種別/リノベーション
所在地/和歌山県海南市
構造/木造2階建
延床面積/117.08㎡
竣工年/2016年
Photo/Koki Matsumoto
里山の麓に建つ良質な古民家を継ぐ
檜の床板を磨き、仕上げを整えた玄関スペース。粋な玄関タイルは再利用。
個室と廊下を隔てる壁にはニッチを設け、型板ガラスが明かりを通す。
縁側スペース。磨き上げた無節の檜床材が品を醸し出す。
ダイングからリビングとなる和室を望む。小屋組現しの空間が2間を繋ぐ。
2間を仕切る建具上部の欄間には、透明ガラスを組み込んでいる。
建具を閉じると雪見障子が庭の景色を縁取る。
吹抜け上部の片引き障子戸は、南北の虫籠窓の位置に合わせて計画している。
床の間の設えからも当時から上質な住まいだった事が伺える。
L型の造作キッチンと釉薬タイルの組み合わせ。
客間となる和室の襖紙には竹久夢二作の抽象柄を選定。
廊下には正面のガラス戸から日差しが差し込む。
木製建具を再利用した個室。元洋室だったこともあり、建具の装飾からは大正ロマンを感じる。
主寝室にも既存床材に合わせて檜材のフローリングを採用している。
日差しが差し込む洗面脱衣室。
小さなモザイクタイルは、玄関のタイルからイメージし選定。
木製建具に仕切られた明るいトイレ。
小屋裏収納を個室としても使用可能なロフトスペースに。
障子戸を開けると虫籠窓、吹抜け上部と繫がる。開け放つと風の通り道となる。
吹抜け上部には空気を対流させるシーリングファンを設けている。
虫籠窓が特徴的な外観。仕上げを更新し整えている。
ミカン畑と古民家が郷愁を誘う。
BEFORE