昨今の住まいは、例えば外壁でしたらサイディングやガルバリウム鋼板などの採用が増え、その多くは将来に渡って「変わらない美しさ」を保つ事が命題となっているように感じます。
もちろん全てを否定する訳ではないですし、適材適所な使い方を含めた新たな技術にはいつも興味津々なのですが、ただ、「変わらない美しさ」を求めたもの程、時を経た時には良い意味での経年変化ではなく「経年劣化」になっているのではと常々思います。
そんな事を考えながら、現在進捗している住まいの腰板水切りとして銅板を採用しました。
銅板は、以前は多くの一般住宅の屋根や雨樋で見受けられましたが、当時は想定していなかった酸性雨で腐食し穴が空くといった弱点があり、多くがガルバリウム鋼板へと置き換わった素材です。
しかし、銅板に穴が空く現象は、瓦の中央部などでの雨水集中と落差によって酸化保護皮膜が剥離する事によって起こり、実は屋根全体が施工された場合など均一な条件では、穴空きは発生しないと様々な過去の事例が証明しています。
(おそらく一番有名なのはNYの自由の女神ですかね。)
さて銅板の特徴としては、良く知られるように酸化保護皮膜の発生による色の経年変化があること。
現在の美しい色彩と光沢は、半年ぐらいで光沢が落ち着き褐色に変化し、将来的には緑青へと落ち着きます。
こちらは見附で25mm程と小さな所なのですが、こういったディテールの集積こそが大事な所。
住まい手と一緒に年を取りながら変化していくのが楽しみです。
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